パニック障害
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パニック障害について
パニック障害は不安障害のひとつで、急激な不安、呼吸の苦しさ、めまい、意識の変容感、このまま死んでしまうのではないかという感覚が、多くは予想もしない時や場所で出現するものです。この発作は当人にとってはあまりにも急激で、予想外であるために、その後また同様の症状が起きるのではないかという不安感につきまとわれるようになり、外出をすることや日常生活をおくるのさえ不安と困難を感じるようになることもあります。特定の場所(電車や高速道路)で、このような発作がおきることもあり、このような場合は特に広場恐怖症とよばれます。
救急受診をされる方も多い疾患ですが、大事なことはまず病気の知識を増やすことです。苦しくても死ぬことはない。発作は長くても5~10分で沈静化していくということがまずは大事な知識でしょうか。
この症状を感じる方には、精神的緊張に長期間さらされていながら、ご本人はそれがあまりにも普通の状況になってしまっているため、そのことに気づいていないこともあるようです。
発症するまではそのような状況を自力で乗り越え、自分自身をコントロールしてきた方が多いので、自分にそのような制御困難な「発作」がおこったことに強いショックを感じて、自分を見失いそうな不安を抱いている人にもお会いします。
一つ記しておきたいのは、私自身はこのような症状の出現を「病気」「障害」としてとらえるべきなのかどうかいまだにまよっている部分もあるということです。困っていることだからそれは問題であって病気であると考えるやり方ももちろん否定はしません。
ただ、受診をして症状とその背景の説明を受けるだけでも、おちつきました、と述べられて後はなんとか自分で対処できそうですとかえられる方もおられます。
それはそれでいいことですし、「病気」がなおっているかどうかわからないからもっと通ってくださいということも言いません。
ここで、医者にかからないですむ程度の人であったのだから「病気」ではなかったと言っていいのかどうかも私にはよくわかりません。そこをつきつめると「病気とか障害とはなにか?」とかなんとかいうわけの分からない話の森に迷いこんでいくのでひとまずはこれ以上は深追いしないようにしています。
(このような言の意味に関する議論は個人的には嫌いではありませんが)
ただ、このような発作を起こした方が抱えてきていた精神的な緊張はどこからきていたのか、何かしら理由があって社会とそのような関係を作ってこなければならなかったのかということは、何となく気にはなります。ご自身もそのようなことを何となく気にしはじめて、何となく理由を知りたくて通院を続けられる方もおられます。
仮に理由がわかったとしても、それと症状を「病気」として治療を行うことはまた違った問題でしょうし、当初のご相談からはかなり離れたものになっていくでしょう。
まあ、とにかく医師としての私はまず来院された方々が「困った」と相談されることを「困らない」ようにすることを目標に全力を尽くします。
このようなことを書いてしまうからでしょうか。お前ら精神科のやっていることは「科学」ではないなどと他の科の先生方からお叱りを受けることもあります。
…はあ、すみません。と、心の中で頭を下げながら今できることに一生懸命になることしか今の私にはないようです。